はじめての葛城古道を歩く・ルートやアクセスをチェック

葛城古道

先日、奈良県御所市(ごせし)にある「葛城古道」(かつらぎこどう)を初めて歩いてきました。奈良県の北西部に残る古来からの道で、「葛城の路」(かつらぎのみち)とも呼ばれます。

2004年、「熊野古道」がユネスコの世界遺産(文化遺産)として登録されて以来、「古道ブーム」というか、今も残る古い歴史の道を歩くことが人気になってきました。

「葛城古道」もそんな「古道」の一つと言えるかもしれません。今日は「葛城古道」の歩き方【ルート・アクセス編】をお届けします。

葛城山と金剛山
朝日を浴びた葛城山と左隣の金剛山。葛城古道はこの2つの山のすそ野を通っています。


わたしが住む大和平野からは、葛城山(かつらぎさん)・金剛山(こんごうさん)の尾根がいつも見えている感じです。道に迷ったりしても、「山のあるほうが西」と覚えているのでバッチリです(笑)。

葛城山の標高は959メートル、金剛山は1125メートル。ファミリー登山に人気があり、わたしも何度か登ったことがあります。が、裾野をたどる葛城古道は一度も歩いたことがありませんでした。

歩くコースそのものは13キロくらい。ただ交通アクセスが本当に少なそう……。なので地元県民の私もちょっと尻込みしていました。

ミチコ
「葛城古道」歩いてみたいなあ。でもバスとか交通機関とか大丈夫かな、田舎だし本数も少ないんじゃない?

でも大丈夫でした!ネットでバスや電車の時刻表も調べられるし、運行は正確。さっそく紹介していきますね。

「葛城古道」とは?

「葛城古道」は大阪府と奈良県の県境にある金剛山・葛城山の東側ふもとを南北にたどる道です。

おもに奈良県御所(ごせ)市を通っていて、長さは約13km。「葛城の路」(かつらぎのみち)とも呼ばれています。

奈良県の葛城古道
奈良県御所市にある葛城古道

5世紀末頃に栄えた豪族「葛城氏」の本拠地があった場所で、葛城氏以前には「鴨氏」の勢力が盛んな土地でした。地名や神社にも「葛城」や「鴨」の名がつくものが多いです。

ミチコ
古代史ロマン〜
葛城古道と山麓線
青いラインが葛城古道メインルートです。白い道が「山麓線」

葛城古道は「山麓線(さんろくせん)」と呼ばれている「奈良県道30号御所香芝線」とほぼ並行して連なっています。古代からの道と最新の道路が並行し、時々交差しながら続いています。

山麓線は標高150メートルくらいの高台を走っているので、西側の大和平野を見渡す景色は爽快です。

葛城古道も景色は抜群。金剛山・葛城山の緑ゆたかな自然にふれながら、今なお昔の面影を残す古い町並み、神社を巡っていきます。土や木や石が持つパワーがしみこんでくるような道です。

葛城古道の神社・お寺
  • 高鴨神社(たかがも・じんじゃ)
  • 高天彦神社(たかまひこ・じんじゃ)
  • 橋本院
  • 極楽寺
  • 葛城一言主神社(かつらぎひとことぬし・じんじゃ)
  • 九品寺(くほんじ)
  • 六地蔵石仏

これらを訪ねるハイキングコースが「葛城の道」や「葛城古道」として整備されてきました。

もっとも混むのは5月中旬と秋分の日あたりでしょうか。

とりわけ5月、葛城山頂付近の「一目百万本」と言われるツツジの群生が満開のころは、御所駅周辺がごった返します(笑)。秋には葛城古道の彼岸花を目当てに、カメラ片手のハイカーが連なります。(それはまた別の機会に)

「葛城古道」への行き方・アクセス

車で行く場合:「近鉄御所駅」周辺のコイン・パーキングを利用できます。

鉄道を利用して御所市まで行く

最寄りの鉄道駅は2つあります。

  1. 近鉄御所(きんてつごせ)駅 【近鉄御所線】
  2. JR御所(JRごせ)駅 【JR和歌山線】

2つの駅は150メートルも離れていないので便利ですね。

ただ、JRは運行本数が少なく、朝の時間帯は1時間に2本、それ以降は1時間に1本という寂しさです。ローカル線のつらいところ。

今回は「近鉄御所駅」を起点にして紹介しますね。

近鉄御所線路線図
近鉄御所路線図。大阪や奈良・京都、吉野からも連絡しています。

「近鉄御所線」は駅が4つだけなんです。「尺土(しゃくど)駅」で「近鉄南大阪線」と連絡していて、一気に大阪の都市部に出ることが可能。通勤・通学・ショッピングにも便利な路線です。

「尺土」⇒「御所」間は単線で、片道7分くらい。ほぼ15分ごとの往復運転なので、待ち時間は少なくてすみますね。

ローカル路線バスに乗り継ぐ

「近鉄御所駅」からはローカル路線バス「奈良交通バス」を利用して、葛城古道の起点まで行きます。

「六地蔵石仏」を起点にするか「風の森」を起点にするか、2つのコースがあります。

葛城古道・2つの歩き方

① 南下コース:スタートは「六地蔵石仏」

バスで「猿目橋」停留所まで。「六地蔵石仏」は目と鼻の先です。
葛城古道を南下し、「風の森」まで。帰りはバスで「近鉄御所駅」にもどってきます。

② 北上コース:スタートは「風の森」

バスで「風の森」停留所まで一気に南下。
葛城古道を北上し、「六地蔵石仏」まで歩きます。
帰りは「猿目橋」バス停から「近鉄御所駅」にもどってきます。

「近鉄御所駅」から「六地蔵石仏」までバスだと9分くらい。歩くと30分かかりますが、途中「鴨山口神社」にも寄れるし、収穫は大きいと思います。

ローカル路線バスを利用するときに注意すること

それは「運転本数が少ない」ということです。「近鉄御所駅」=「風の森」間も文字通り「1時間に1本」です!

朝・夕の通勤・通学時間帯は1時間に2本のときもありますが、平日も土日も祝日も、基本「1時間に1本」ですからね。その1本さえ走っていない時間帯がありますから、注意です。

「猿目橋」行き(「葛城ロープウェイ」方面)のバスも本数が少なく、2時間に1本しか走っていません。4月〜5月と9月〜11月の観光シーズンには増便がありますが、それでも1時間に2本(時間帯による)です。

先日、わたしの弟家族が葛城山に登山したときのことです。

登山口のある「葛城ロープウェイ」駅までバスで行くはずが、直前に1本出たあと。次のバスは1時間後しかない、ということで、なんとタクシーで「葛城ロープウェイ」駅まで行ったとのこと。

「あんなにバスの本数が少ないなんて知らんかった」とぼやいていました。

ミチコ
バスを1本逃すと、田舎の寂しいバス停で1時間待ちですよー

お助け・毎日運行のコミュニティバス「ひまわり号」

ここで裏技の紹介。それは御所市が運営しているコミュニティバス「ひまわり号」を使う手なんです。

本数は少ないですが(1日に3本。朝・昼・夕の時間帯)、時間が合えばうまく利用できそうですよ。

平日だけでなく、土日、祝日も毎日運行しているのでぜひチェックしてみてください。(3月の車検時はお休み)

観光シーズンの臨時バス(秋)

2018年・2019年は、秋の彼岸花・コスモスシーズンを中心に「ごせ★葛城の道臨時バス」が運行されました。土日・祝休日限定ですが、1日500円で乗り放題の周遊バスは頼りになります!(1乗車300円)

葛城古道だけでなく、周辺の寺社・旧跡などを巡るのに便利そう。今年も運行されることを希望します!

とにかく公共の交通手段を使う場合は、しっかり時間を調べる必要がありそうです。

逆に、時間にしばられず、余裕のあるプランにするほうがいいのかな。予定のバスを逃してしまったら、ちょっとだけ周辺を探索しながら、1時間のんびり待つのもいいかも。

はじめての葛城古道はゆるやかなハーフコースで

バスの時刻表も調べてから、自分なりの「行程」を立ててみました。

歩く距離や高低差によって疲労度も違うし、時間的・体力的に余裕をもってスケジュールを考えました。といっても厳密なものではなく、だいたいこれくらいの時間かなあ、という感じですね。

もしこのバスに間に合わなかったら次はこれ、という代案はしっかり押さえました。

初めてなので、今回はコースの半分だけを歩いてみることにしました。地図で見ると北半分のコース。起伏の少ない、わりあい平坦な道です。

奈良交通の路線バスで「寺田橋」まで行き、西の名柄地区をめざします。葛城古道に入ったら北上し、最後に近鉄御所駅にもどってくるコースです。

はじめての葛城古道スケジュール

【スタート】奈良交通バス停「寺田橋(てらだばし)」11:45 出発

多田(おいだ)集落

梅本とうふ店

【昼食】郵便名柄館内にある「手紙カフェ」で 12:20〜13:00

長柄(ながら)神社

葛城一言主神社

九品寺 (14:00)

六地蔵石仏

鴨山口(かもやまぐち)神社

【ゴール】近鉄御所駅 15:20 到着

時間にして4時間ほどの行程です。

注意 「葛城古道」全ルートを歩くと、休憩を入れて5〜6時間はかかります。体力や歩く速さ、休憩時間、カメラタイムも考えて、無理しないでコース設定してね。

葛城古道のコースや、交通アクセスを調べるのに結構時間がかかってしまいました。

よく知ったコースならぶらっと出かけることもできますが、初めての道なので、ちょっと慎重になりました。

さて、いよいよ次回は【歩き編】です。どんな風景と出会えるのか楽しみです!

【葛城古道#1】緑の息吹きを感じながら歩く名柄・森脇・楢原