前回の「葛城古道」【ルート・アクセス編】に続き、いよいよ【歩き編】です。
初めてなので全コースの3分の1だけを歩いてみることにしました。起伏の少ない、わりあい平坦な道です。
葛城古道の中間あたりの「寺田橋」までバスで南下、西の名柄地区をめざします。葛城古道に入ったら北上し、最後に近鉄御所駅にもどってくる逆「コ」の字コースです。
距離は約7km。時間は昼食を入れて3時間半くらい。写真を撮りながらゆっくり歩く感じです。初めてのルートなので、道に迷うことがあるかもしれません。ちょっと余裕をみての時間配分です。
昼食は、途中にある「郵便名柄館」(ゆうびんながらかん)にある「手紙カフェ」のランチと決めました。
「郵便名柄館」は古い郵便局をリノベーションした資料館で、カフェを併設しています。地元の野菜をたくさん使った充実ランチが評判で、前から気になっていたのです。(2015年5月にオープンしました。)
Contents
【スタート】奈良交通バス停「寺田橋(てらだばし)」11:45 出発
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多田(おいだ)集落
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梅本とうふ店
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【昼食】郵便名柄館内にある「手紙カフェ」で 12:20〜13:00
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長柄(ながら)神社
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葛城一言主神社
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九品寺 (14:00)
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六地蔵石仏
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鴨山口(かもやまぐち)神社
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【ゴール】近鉄御所駅 15:20 到着
寺田橋から西へ〜葛城山のふもとへ向かう
近鉄御所駅から「五條バスセンター方面行き」の路線バスに乗り、「寺田橋」で下車しました。
バス停「寺田橋」周辺
バス停は川沿いにあります。葛城川です。車の向こう側に見える白い橋を渡ります。左奥に写っているのが葛城山!なんかウキウキ。
「ほりのバーガー」はバイカー御用達だそうで、大型バイクが整列していました。
「ほりのバーガー」の背後に、ドーンとスーパーマーケット「オークワ」があります。お水を買うついでにトイレをお借りしましたー。
スーパーは少し高台にあるので、葛城山麓を見渡せます。駐車場から見た葛城山、陰影が美しいです。山のふもとを目指します。
多田(おいだ)集落を抜けて多太神社(おいだじんじゃ)へ
最短ルートを避けて回り道する
寺田橋を渡り、そのまま真っすぐ葛城山に向かって行くのが「名柄」への最短ルートです。が、今回は少し回り道をし、多田集落を抜けて行くことにしました。
フカフカの下草を踏みながら、あぜ道を歩いていきます。普段はアスファルトで固められた道ばかり歩いているので、土と草のクッションが本当に気持ちいいです。足が喜んでいる感じ(笑)。
あぜ道を抜け、アスファルトの市道に出たら、葛城山に向かう坂道をゆっくり登っていきます。
川幅2メートルほどの百百川を越えて行きます。
坂道を右に折れ、さらに登っていくと「多太神社」(おいだじんじゃ)に出ました。
そしてその鳥居の横には…!
いきなり出くわした鳥居横のこの巨木には圧倒されました。首を思いっきり反らせて見上げても、まだ木の先端が見えないほどの高さ。何メートルあるんだろう?
「多太神社」には、3本の「ムクロジ」の大木と1本のイチョウの大木があるそうです。鳥居横のこのムクロジが1番小さくて15メートル、境内には25メートルを超すムクロジがそびえているそうです。
わたしはこの時まだ知らなかったのですが、御所市には「巨木」と言われる古木、大木が多数あり、このあと、そのうちの何本かに出会うことになります。
東名柄の古民家や大神宮灯籠
多田集落から東名柄(ひがしながら)集落に入りました。
寺田橋から上がってきて、2つめの大神宮灯籠です。「大神宮」(だいじんぐう)とは伊勢神宮のこと。お伊勢参りの道標となった灯籠ですね。「太神宮」と彫られた灯籠もあります。
東名柄 天満宮
小さな神社ですが、掃除がゆきとどいて、雑草1本ありませんでした。大事にされているんですね。
わたしが歩いたときには梅が満開でした。青空にピンクが映えます。
天満宮の向かいには東名柄公民館がありました。
名柄・古民家ストリートを行ったり来たり
東名柄を抜け、名柄地区に入りました。十字路に「葛城の道」の道標がありました。バス停からここまで登ってきて、ひとつも案内板らしきものがなかったので、ちょっと不安でしたが、やっとお目にかかれました(笑)。
長柄神社や一言主神社の案内があります。この道でまちがいないってことですね。
ここでようやく本来の「葛城古道」に入れました。
葛城酒造と中村邸
道標の南側にあるのが「葛城酒造」です。お酒を扱っていますよ、というしるしの「杉玉」が玄関に下がっています。
こちらは案内板の北側、中村邸です。慶長年間に建てられたとされる古いお屋敷です。内部は非公開ですが、外観だけでも見る価値があるりっぱなお屋敷。
梅本とうふ店の豆腐ドーナツがあっさりうまし
葛城酒造と中村邸の間の道をまっすぐ行ってみます。近くの「梅本とうふ店」を探します。
矢印のほうに行ってみます。
梅本とうふ店です。話し声はするのですが……パラソルはたたまれているし、お休みかな?
防寒のための幕もはられていましたが、お客さんはおらず。今日はお休みのようです。声をかけずにもどりました。
数日前、友人からドーナツの差し入れがあり、あっさり軽く、なつかしい味にほっこり。これが「梅本とうふ店」の豆腐ドーナツでした。「地元では有名」というのを聞いていたので、ぜひ買いたかったのですが、またの機会にしましょう。(お店は日曜・月曜がお休みです。)
郵便名柄館(ゆうびんながらかん)Tegami Cafe (てがみカフェ)
十字路の案内板まで引き返し、いよいよ「郵便名柄館」に向かいます。十字路の東の角に駐車場がありました。すぐ近くのようです。
駐車場はけっこう広かったです。(あとでチェックしたら11台駐車可能とのこと)案内板の文字もレトロな感じで素敵です。
レトロな「手紙カフェ」でまったり
かわいいですよねー。よくこのピンク色を選んだなと感心します。
入り口を入ってすぐ右に、白く塗られた電話ブースがあります。
レトロな内装、郵便関係の道具や機械、文具なども昔のままに展示され、きれいに生まれ変わった感じです。なつかしく、おしゃれ。いいなあ。
手紙カフェ・土日のランチタイムの混み具合
「手紙カフェ」(Tegami Cafe)は11時から16時までの営業です(ラスト・オーダーは15時30分)。お休みは火曜と水曜。土日のランチタイムはとても混んでいるみたいです。
わたしは12時20分ごろ着いたのですが、すでに満席でした。席は20席くらいかな。この日は天気もよく、お散歩日和だったせいか、わたしの後からもお客さんが次々と。
スタッフ2人で切り盛りされているので、やはりちょっと待つ覚悟が必要ですね。
手紙カフェで「ウォーキングマップ」をもらっておこう
郵便資料館でもある「手紙カフェ」では地元情報をいろいろゲットできます。ランチの順番待ちの間に展示品を眺めたり、販売されているグッズをチェック。
イベントの案内や、ショップ案内のチラシやパンフレットもたくさんありました。中でもウォーキング用の「ぶらぶらながらマップ」は必ずもらっておきたいですね。
わたしはグーグルマップでルートを調べて行ったのですが、この「ぶらぶらながらマップ」のおかげで、この日のコース後半が充実したものになりました。地図だけでなく、解説や案内も書かれていて勉強になりましたよ。
表が「ぶらぶらながらマップ」、裏がなんと「葛城の道コース」になっていて、便利すぎるマップです。カラーでわかりやすい!「葛城の道コース」は御所市観光ホームページからもダウンロード可能。
「葛城の道コース」のマップは近鉄が編集している「てくてくマップ」からもダウンロードできます。
スマートフォンの地図ナビを見ながら歩くのもハイテクでいいのですが、紙の地図は旅気分・冒険気分を盛り上げてくれますね。
地元野菜ごろごろの「手紙ランチ」最高!
20分くらい待って席に案内されました。お目当てのランチを注文。ランチ・メニューは月替り、この日のメインは「麦味噌と豆乳のシチュー」でした。
地元の野菜がいっぱい。お味噌も手作り。鶏肉のミートボール、さつまいものレモン煮、大きく切った野菜がごろごろで、美味しかった。
この日、地元の吐田(はんだ)米のご飯がちょっと硬かったので、最後に残ったスープにご飯を入れ、おじやにして完食しました!ご飯は大・普通・小と選べるので、わたしは小にしたのですが、普通にすればよかった!
カフェ・メニュー
ケーキ類やドリンク、パフェ類もあります。
手紙カフェのほっこりした仕掛けとは?
「手紙カフェ」のカフェ・メニューにはちょっとした「仕掛け」があります。「手紙コーヒー」を頼むと、ハガキ用の切手が1枚ついてくるんですね。しかも「郵便名柄館」オリジナル切手なんです。
テーブルの引き出しには筆記用具とハガキが入っていて、お便りを書けるようになっています。ハガキを書いたら、オリジナル切手を貼って、外にある赤いポストに投函、という楽しい仕掛けです。もちろんポストは現役。
今回はランチだけでしたが、いつかお便りを出してみます!
巨樹のエネルギーに圧倒される
さて、美味しいランチで満腹。カロリー消費しなくては。次の目的地は「長柄神社」です。
はりきって歩き出したら、神社は数メートル先の角を右に曲がったところでした。近すぎる(笑)。
この道をずっと下っていくと、「西寺田」の交差点に出ます。スタート地点のバス停「寺田橋」のすぐ近くですね。
そしてここにも圧倒されるような巨木がありました。多太神社のムクロジよりさらにデカイ!
幹の周り5メートル、高さ28メートルですと!圧倒されつつ長柄神社を出ました。
しばらく歩くと、さらに!圧倒どころではない、卒倒しそうなくらいの巨木が出現!
あまりの大きさ、高さに、わたしはテンションが上り、「わーすごい、でかい、すごい、こんなの見たことない」とひとり叫びながらカメラのシャッターを押しまくっていました。
小さな iPod カメラの画面には到底おさまらず、これが精一杯の写真です。
巨木の生命力、その精気がわーっと押し寄せてきて、鳥肌が立ちました。この樹をぜひぜひ見てほしい!
「葛城古道、すごい!」と、ひとり「わーわー」言いながら名柄ストリートを歩くわたし。すっかりアヤシイ人になっていました(笑)。
「名柄小学校」。墨あとの美しい木の表札とイチョウの大木。子どもたちが野球の練習中でした。このイチョウ、秋には黄金のように輝くんだろうなあ。素敵です。
葛城一言主神社をめざして
郵便名柄館からまっすぐに歩いていきます。そのまま「豊田」の信号を渡り、「森脇」地区に入りました。
幹線道路「山麓線」(さんろくせん)をはさんで東西に広がる地区で、「葛城一言主神社」も森脇にあります。山麓線の西は豊かな森、東は畑が広がるゆるやかな土地です。
左手に葛城山を見ながら、なおもまっすぐに葛城古道を進んでいきます。
少し坂道を下ると、左に見えてきたのが「片上醤油」(かたかみしょうゆ)醸造所です。
片上醤油・天然醸造の蔵が並ぶ
片上醤油の製品は県内のスーパーや道の駅でも見かけるようになりました。香りがキュンと立つお醤油です。
蔵の横を歩いていると、建物から「気」が漂ってくるような感じがしました。醤油の香りなのか、発酵パワーなのか。生物の気配ですね(笑)。パワースポットはこんなところにもありました。
葛城一言主神社・イチョウの巨木
ここから「葛城一言主神社」を目指します。
片上醤油を過ぎ、建物の角を左に曲がります。と、そこに大きな鳥居が。見上げると「葛城一言主神社」鳥居でした。
一言主神社には車で行ったことがあるのですが、神社本殿からかなり離れたこんなところに一の鳥居があるとは知りませんでした。
上の写真画面の右・真ん中あたりに見える道路が「山麓線」です。
今日は駐車場、すいていました。秋の彼岸花・黄葉の時期は参道脇にずらりと縦列駐車です。
案内やら道標やら看板がいろいろ。
石段の下に「祓戸社」(はらえどしゃ)があります。(女性が立っているあたり。)本殿に参拝する前に祓戸社に参り、ケガレを祓い心身を清めます。
地元では「いちごんさん」と呼ばれている神社で、ひとことだけ、願いをきいてくださるそうです。
以前、TVのインタヴューで、神主さんが「女子高生がひとこと、ヨロシク、と言っていた」と笑いながら話しておられました。
イチョウの古木にはおっぱいのように枝の一部が垂れ下がっているものがあります。
この大イチョウにはそんな「お乳」がたくさんあり、「乳イチョウ」と呼ばれ、神木として信仰の対象になっています。おっぱいがよく出るように、子供が授かりますように、と参拝にくる方がたくさんおられます。
写真ではまだ冬枯れの大イチョウですが、秋には金色に黄葉して圧倒されるほど。葛城山を背景に、あそこにイチョウがある、と遠目にもすぐわかるほど明るく輝いて見えます。
数年前の乳イチョウ。剪定され、古い枝を払ったのでかなり「小さく」なった感じはあります。「おっぱい」がたくさん見えますね。
黄葉のピークに写したものです。高さがすごい。(写真、小さいです)
数年ぶりにまた参拝できてよかったです。今度は秋に来てみましょう。
九品寺へ
一言主神社参拝を終え、ここから九品寺(くほんじ)を目指します。
この案内の道標は、一言主神社の石段の、すぐ右脇に立っています。
九品寺まで1.3キロメートルとあるので、山道でも30分あれば行けそうかな。
このうねった坂道を登っていきます。わかりやすいですよ。
楢原(ならばら)休憩所前で道に迷う?
ここまでは道に迷うことなく来れたのですが、1ヶ所だけ違う道を行きかけてもどったところがあります。それがこちら。
左のあぜ道に入るところを、右の舗装された道をそのまま下ってしまいました。方向的には間違っていないのですが……歩いていて、ふと振り返ると、2・3人のグループが上のほうの道を行くのが見えたのです。
「あれ?もしかしたら間違った道を来たのかな」とすぐ引き返しました。そして道標をよくよく見ると、上のあぜ道のほうを指していますよねえ。向こうに人も見えるし、左側の道が正しいのだ、とわかりました。よかったー。
あぜ道は森の方へ続いていました。地名通り「森脇」なんですねー。その森の入口に立っていたのがこの石碑です。
第一代神武天皇に続く、二代目、綏靖天皇ですよ。どんだけ古いねん!って感じですね。まあ、この石碑が立っているだけで、遺構も何もない、というのがさみしいんですけどね……。綏靖天皇が実在したのかも定かではないらしいです。
ここはまだ森脇地区で、この森を抜けると、そこが楢原地区です。わたしはずっと「なおはら」と読んでいたのですが、「ならばら」と読むのですね。
楢原展望台・見たことがない大和平野を見た
楢原(ならばら)「葛城古道休憩所」に到着しました。地図では「休息所」になっていましたが、道標では「休憩所」でした。(スミマセン〜小さなコトですが…気になりまして)
展望台ではなく「休憩所」なのですが、展望台と言いたくなるような景色が見られます。
枯れたススキがちょっと邪魔なのですが、大和平野がパノラマのように広がっています。絶景!
平野にポコポコと盛り上がる畝傍山・耳成山・香久山の大和三山。はるか奥にかすむ尾根は奈良盆地の西側の山々です。
ちょっと休憩し、本日後半のハイライト、九品寺を目指します。休憩所からは500メートルほど。もう少しです。
あと100メートル!すぐそこですね。そのまま迷うことなく1本道を進みます。
石垣をすっと曲がると、そこに九品寺の山門がありました。
九品寺に到着・そして思いもかけないことが起こる
さあ、いよいよ葛城古道、本日のクライマックス、九品寺に到着しましたー。
「千体石仏」の写真を撮るぞーとはりきっていたのですが、なんと、ここでとんでもない失態をやらかしてしまいました。
カメラのバッテリーが切れてしまったんですぅぅ!
カメラといってもわたしの場合は iPod touch の付属カメラです。
購入してもう5年、バッテリーの持ちも確かによくないのですが、それにしてもここで電池切れとは!上の「九品寺山門」の写真が本日最後の1枚となってしまいました。くー。
九品寺散策
気を取り直し、とりあえず、九品寺にお参りし、境内を見て回ることにしました。
数年前に大修理が行われ、屋根や壁もきれいに生まれ変わったようです。境内は掃き清められ、静かに散策できます。
本殿背後の裏山にある「千体石仏」と呼ばれる多数の石仏も拝見しました。写真は次回の宿題とします。
六地蔵石仏・鴨山口神社へ
写真は撮れなかったのですが、このあとも歩き続けました。
九品寺から六地蔵石仏、鴨山口神社とコースをたどり、最後は近鉄御所駅まで帰り着きました。合計4時間ほどの歩きになりました。
六地蔵石仏の思いがけない大きさ、鴨山口神社のしんとした冷気、写真でお伝えできないのが残念です。
葛城古道のトイレ事情
最後に、気になるトイレ事情を少し。
今回わたしはバス停「寺田橋」近くのスーパーマーケットで、ドリンクを買うついでにトイレをお借りしました。それ以外では「郵便名柄館」のトイレが利用しやすいです。
一言主神社、駒形大重神社にはトイレがあります。鴨山口神社のは見つけられず。
地図には数か所「トイレマーク」があるのですが、歩いている途中では見つけられませんでした。
出発前に近鉄御所駅ですませておき、あとは神社でお借りすることになりそうです。
はじめての葛城古道。今の名柄の新しいエネルギーを感じる道であり、巨木と、それを守ってきた人々に思いを寄せる道になりました。
途中でカメラのバッテリーが切れてしまい、残念なことになりましたが、「絶対リベンジするぞ」と心に誓って帰宅。
決心通り、なんと翌週、再び「葛城古道」へ足を運んだミチコです。
そしてそこで奇跡を見た!「葛城古道」【リベンジ編】をお楽しみに!
カメラのバッテリーはしっかり充電していこう。
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月替りランチのメニュー内容や、イベント情報も掲載されています。